D2Cとは?ブランド戦略からメリット、事例までわかりやすく解説!
近年、インターネットが浸透したことから、必ずしも顧客は店頭で物を買うことはなくなりました。インターネット上の情報を得た上でECサイトで購入することは当たり前の行動となりました。こうした背景もあり、店舗を持たずに直接、インターネットを通じて消費者に物を販売する「D2C」ビジネスが台頭しています。
今回は、D2Cの概要からブランド戦略、メリット、事例までわかりやすく解説します。
目 次
1.D2Cとは?背景と特徴を解説
D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、直接、消費者に販売するビジネスモデルのことを指します。直接というのは、代理店や小売店などの仲介をはさまず、直接メーカーがインターネットなどを通じて物を販売することを意味します。
●D2Cの特徴
D2Cの一番の特徴は、消費者とダイレクトに取引する点にあります。従来は「メーカー→卸→小売→消費者」といった流通網が一般的でしたが、D2Cでは「メーカー→消費者」といったように、商品やサービスを直接自社のECサイトを通じて販売する流れが特徴的です。
つまり、卸売業者や小売業者などの仲介業者を挟まないため、仲介手数料を省けることから、消費者へ安価に商品提供が可能になることがあります。
販売する商品はアパレル、化粧品、食品、日用品、文房具、美容雑貨、家電など多岐に渡ります。販売はECサイトやSNSなどを通じて行い、販促活動や顧客とのコミュニケーションもすべてデジタル上で完結するのが一般的です。
●D2Cが注目されている背景
D2Cは現在、若い世代を中心に人気を博しています。
生まれたときからインターネットやスマートフォンに親しんできたデジタルネイティブの世代の間では、SNSによる情報収集やEC利用によるショッピングが定着しています。
また消費者の価値観の多様化が起こっており、「所有から体験へ」と消費ニーズが変化している点も背景として挙げられます。ものを所有して楽しむよりも、定額制サービスなどのサブスクリプションやレンタルサービスのように一定期間だけ利用して体験価値を重視する流れもあります。
またD2Cはサブスクリプションサービスとの相性が良いといわれているため、このような時代背景から、D2Cはニーズが高いビジネスといえます。
2.D2Cビジネスにおけるブランド戦略の立て方
D2Cビジネスの特徴を踏まえたブランド戦略の立て方のアイデアをご紹介します。
●ユーザーデータをマーケティングに活かす
D2Cは多くの場合ECサイトを通じて販売するため、ユーザーの行動履歴や属性情報を入手しやすいといえます。そのため、取得したユーザーデータを細かく分析してマーケティングに活かすことが可能です。より自社のブランドやビジネスにマッチしたユーザー獲得につながりやすくなるでしょう。
●コンテンツマーケティングでブランディングを行う
D2Cはコンテンツマーケティングにも親和性が高いビジネスです。コンテンツマーケティングとは、見込み客に有益と思われるコンテンツをオウンドメディアやSNS、メールマガジン、動画や音声配信などを通じて定期的に発信することで、見込み客の育成を図り、購入へとつなげる手法です。同時にブランディングも行えるメリットがあります。
●SNSでブランディング
特にSNSは、ユーザーと直接コミュニケーションを取ることができる手法です。ブランド独自の世界観を構築して、強みや差別化ポイントをSNSで発信することで、メリットが得られます。
●価格戦略を行う
D2Cは、仲介手数料を省けるため、商品価格も下げやすいところがあります。安価に提供可能なので一般流通している商品よりも品質を下げずに価格競争に勝つことができる可能性があります。そのため、価格戦略を行うのも一つの方法といえます。
●体験価値提供によるファン醸成
D2Cは、ブランド力と体験価値の提供に強みがあるため、ファンを醸成しやすいメリットがあります。SNSなどを活用して自社やブランドのファンを増やす戦略も有効です。
3.D2Cビジネスのメリット
D2Cのビジネス的なメリットを見ていきましょう。
●高い収益性が期待できる
D2Cは、直接消費者と取引するため、仲介手数料を削減できます。さらに複数のECサイトが集まるECモールを使用せず、独自のECサイトや販売形態を持つことで、システム利用料・販売手数料が削減可能です。また実店舗を持つ必要がなければ、家賃や店舗スタッフの人件費もかかりません。
そのため販売価格を下げることや、商品改良やサービス拡充などを通じて消費者に利益を還元することも可能です。そうすれば、さらに売上は伸びていくでしょう。
●消費者との距離が近いためデータ収集、関係構築につなげやすい
D2Cの消費者に直接販売することから、消費者との距離が近いという特徴があります。これには大きく2つのメリットがあります。
一つは消費者にかかわるさまざまなデータを取得しやすい点、もう一つは、コミュニケーションを取りやすい点です。
ECサイトを通じて収集したデータを分析することで、消費者の意見やインサイトをもとにしたサービスの開発や改善につなげられます。
また、個別に最適なメッセージを送信したり、おすすめの商品を紹介したり、SNSでライブ配信をしてファンを醸成し、ロイヤルカスタマー(※)を生み出す戦略も可能です。
※ロイヤルカスタマー:売上貢献が高いことに加えて、自社やブランドに信頼を寄せてくれている顧客のこと。
●販売・マーケティング・ブランディングの自由度が高い
D2Cは、直接自社サイトなどを通じて販売するため、小売店などで販売するよりも自由度が高く販売できます。例えば販売価格を変更したり、キャンペーンを実施したりする場合は、ある程度、業界に根付く商習慣に倣わなければなりませんが、D2Cなら自由に行えます。
4.D2Cの成功事例
D2Cの成功事例を3つご紹介します。
1.海外のアイウェアブランド
海外で人気のあるD2Cアイウェアブランドは、ECサイトで販売することで中間業者をなくし、実店舗を持たないことにより、固定費のコスト削減を実現しています。またECサイトではバーチャル試着のサービスの提供や、無料トライアル期間を設けてユーザー体験を充実させたことで、ファンを増やしました。
一般的なアイウェアメーカーの販売価格の4分の1で提供することが可能になり、売上も目標数値を大幅に上回っています。
2.国内のパーソナライズヘアケアブランド
国内のあるD2Cパーソナライズヘアケアブランドは、髪質診断を通じたパーソナライズ製品を提供しています。
オンライン上のカウンセリングにより、それぞれの髪と頭皮に関する状態や好みに合った、パーソナライズされたヘアケア製品により人気を博しています。
顧客へ診断という体験やパーソナライズされた自分にあった商品を提供するという価値を提供したことで、成功した事例です。
取得した髪質診断データを活かし、パーソナライズ精度の向上につなげています。
3.海外のシューズブランド
ある海外のD2Cシューズブランドは、配送用の箱に、シューズボックスとしても使用できるデザインを施しています。
ボックスの中には緩衝材として仕切りを設けており、品質を保っています。実はこの仕切りにはブランドのコンセプトが文字によって記載されており、ブランディング施策も行っています。
また箱はリサイクル性の高い段ボールを使用しており、インクも大豆ベースのものを利用することで100%リサイクルできるように工夫しています。
顧客のメリットを追求すると同時にブランディングおよび環境配慮への取り組みまで幅広い工夫をして成功している事例といえます。
5.まとめ
D2Cは時代の流れに合っている上に、メリットが大きいことから、今後もさらに有効なビジネスとなることが期待できます。
D2Cは通販が強みであるため、物流をいかに効率化し、最適化していくかが重要になってくるでしょう。
また、パッケージを工夫することでも、体験価値向上やブランディングにつなげられます。
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