紙器の専門サイト|日本トーカンパッケージ

コラム

脱プラを実現するパッケージ~マイクロフルートとは~

脱プラを実現するパッケージ~マイクロフルートとは~

いま、世界的に「脱プラスチック(以下、脱プラ)」の必要性が増している中、脱プラへと向けた企業のパッケージ改変への動きも増しています。特に紙への転換が中心となるなか、段ボールの一種であるマイクロフルートが脱プラを実現するパッケージとして注目されています。
今回は、企業の脱プラの現状から必要性、パッケージの脱プラの方法としてのマイクロフルートをご紹介します。

1.今話題の脱プラとは?

脱プラとは、「脱プラスチック」のことで、プラスチックの使用を極力使用せず、代わりに別の素材を用いる取り組みを指します。脱プラの必要性やSDGsへ向けた世界の脱プラへの動き、日本の「脱プラ」の現状についてみていきましょう。

●「脱プラ」の必要性~プラスチックが与える悪影響~
いま、プラスチックが問題視されている一番の背景として、海洋汚染が挙げられます。世界中で捨てられたプラスチックは、最終的に海に行き着きます。すでに1億5,000万トンのプラスチックごみが海洋中に廃棄されており、毎年、800万トンずつ増加しています。この状況が続けば、2050年には海中のプラスチックごみの重量が、世界中の魚の重量を超えるといわれています。
特に細かく砕かれた5mm以下のマイクロプラスチックは、魚、人、地球の生態系全体への影響が問題視されています。また、プラスチックごみの焼却時に発生する温室効果ガスによる温暖化も懸念されています。

●SDGsへ向けた世界の脱プラへの動き
近年、SDGs達成のために、世界では脱プラの動きが活発になっています。SDGsとは、2015年9月、国連サミットにて採択された「Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標」のことで、2030年までに達成すべき、持続可能な世界を目指すための17のゴールと169のターゲットが定められています。

ゴールの14番目には「海の豊かさを守ろう」が掲げられ、海洋汚染の原因の一つである海洋プラスチックごみは最も問題視されています。このSDGsゴール14の達成に向け、世界的にプラスチック削減や、プラスチックに代わる素材の開発・利用が促進されています。

●日本の「脱プラ」の現状と取り組み~過剰なプラスチックパッケージ~
日本でも、脱プラの動きが進んでいます。従来、日本は家庭から出るプラスチックごみの多くを中国へ輸出してきましたが、中国は2018年にプラスチックごみの輸入廃止を発表し、さらに日本はプラスチック削減の必要性が増しています。

こうした中、日本政府は2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定しました。
基本原則は「3R+Renewable」であり、「Reduce(リデュース)=ごみの発生を減らす」「Reuse(リユース)=繰り返し使う」「Recycle(リサイクル)=資源として再び利用する」の3Rに加えて、「Renewable(リニューアブル)=再生可能資源に替える」ことが求められています。これを受け、2020年7月にレジ袋有料化が始まりました。

そして2022年4月から施行された「プラスチック資源循環促進法」は、プラスチックの資源循環を促進し、プラスチックごみを減らすことで持続可能な社会を実現することを目的とした法律です。飲食店やコンビニ、ホテルなどで無料配布しているストローやハンガーなどの使い捨てプラスチック製品12品目の使用量を削減することが義務化されました。

日本では、レジ袋やストロー・フォーク・スプーン、ホテルアメニティのほか、ペットボトルや商品包装などのパッケージにおける脱プラも進んでいます。

2.脱プラへ向けた企業のパッケージ改変~現状と課題~

今後、企業が脱プラに積極的に取り組んでいくメリットと課題には、どのようなことがあるのか確認していきましょう。

●企業が「脱プラ」に取り組むメリットとは
企業が脱プラに取り組むメリットは、環境保護に大きく貢献できることで、社会的責任を果たすことができる点にあります。SDGsを事業と紐づけて取り組んでいる場合には、SDGsにも貢献できます。

さらに、副産物として、"環境に配慮した企業"としての企業イメージの向上が期待できます。それにより、投資対象として多大な注目を集めるほか、顧客から評価と信頼性が上がることによる売上促進、応募者からの注目を集めることで、採用強化・優秀な人材の獲得にもつながります。

●「脱プラ」の課題
一方で、企業が脱プラに取り組む際に、いくつか課題が挙がっています。その課題の中でも、よくいわれるのが、コスト面です。プラスチックは安価であることから、代替素材と比較すると高価なものが多いといわれています。またプラスチックは軽量な点から輸送費も抑えられることも、なかなか脱プラが図れない原因となっています。
このようななか、いかにプラスチックを上回る優れた素材を代替とするかが課題となっています。

●企業が取り組むパッケージの脱プラ事例
多くの企業は、すでにパッケージ分野において脱プラを図っています。

例えば、世界的なスピリッツメーカーは、商品の贈答品のパッケージや店頭におけるプラスチック製の緩衝材やトレーなど、さまざまな物品のプラスチック使用を完全に廃止しています。代替として段ボール製に変更しており、すでにプラスチック使用量の大幅削減に成功しています。

また、ある日本の食品メーカーは、商品の包装材料のリサイクル・リユースを促進しています。その取り組みの一つとして、商品の外袋をプラスチックから紙に変更しました。

このように、先進的な企業はすでに取り組みを積極的に進めています。

3.脱プラを実現する段ボール「マイクロフルート」とは?

パッケージの脱プラを図るために、最適な代替素材を探している企業も多いでしょう。そこでご提案したいのが「マイクロフルート」です。

●マイクロフルートとは?
マイクロフルートとは、国内最薄の段ボールの一種です。段ボールは、厚紙2枚に波状の紙が挟まれて構成されていますが、その波状の部分を「段」や「フルート」と呼びます。段の部分の高さによってAフルートからGフルートまで分類されており、比較的、段高が低く、薄いGフルートがマイクロフルートと呼ばれるものです。

●マイクロフルートの強み~脱プラ実現におすすめなワケ~
なぜ、段ボールの中でも、マイクロフルートが脱プラを実現するのにおすすめなのか、その理由をご紹介します。

・段ボールはリサイクル率95%超え
マイクロフルートは見た目では分かりにくいですが、段ボールに分類されます。
段ボールは、日本において分別して回収するという一連のリサイクルシステムが確立されている優れた素材です。リサイクル率は95%を超えているといわれています。脱プラのリサイクルシステムと比較して理想的な対応素材といえます。

・森林保護認証の紙を原材料とすればより環境貢献につながる
マイクロフルートの原材料となる紙に、環境に配慮したものを選択することで、より一層、環境への取り組みを深められます。現在、世界的に森林保護認証紙の使用が進んでいます。
例えば、「FSC認証紙」は、FSC森林認証制度による認証を受けたもので、森林環境を守るために、生態系に配慮した適切な管理をしている森林などを厳しい基準で審査する制度です。現在、世界で89の国と地域において認証取得者数は約1,160にも上ります。世界的に認知度も高まっており、FSC認証マーク付きの製品数の増加をはじめ、日本国内での認知が向上しています。
また「PEFC認証紙」というPEFC認証制度による認証を受けた紙もあります。各国で地元の関係者によって独立に設立運営されている森林認証制度です。
マイクロフルートにこれらの森林保護認証紙を使用するケースは今後、国内でも増えていくと考えられます。

・様々な形状や印刷加工する事が容易
段ボールは原材料が紙である事から、様々な形状や印刷加工する事が容易にできます。
中でもマイクロフルート(GF)の段山は175あり、低く小さい段の山で構成されているため、他の段ボールと比較して印刷する面の平滑性が高くなります。これまでは段ボールにはフレキソ印刷が常識でしたが、この平滑性により従来段ボールには不向きであったオフセット印刷を段ボールシートにダイレクトで行う事が可能です。

関連情報:紙器・マイクロフルートで使用される様々な形態をご紹介>>
関連情報:紙器・マイクロフルートの印刷・加工工程を解説>>

・代替パッケージとしてとして申し分ない性能
マイクロフルートは、3層構造を持つ段ボールの一種であることから、ただの板紙と比べて強度があります。ねじれやちぎれに強く、緩衝材としての役割を果たします。
さらに、オフセットダイレクト印刷をすることが可能であるため、美粧性に優れており、食品・携帯電話・家電製品・ギフト製品向けと幅広い製品のパッケージとして利用が可能です。

4.マイクロフルートの採用事例

マイクロフルートは様々な分野で活躍しています。パッケージ、食品容器、EC発送箱・仕切り(発泡スチロールの代替)等個装箱・発送箱・中箱・緩衝材など多用途に使用されています。その中でも、パッケージのような派手さはありませんが、着実に「脱プラ」を求められている緩衝材(仕切り)の改善に取り組んだ事例があります。日本トーカンパッケージが取り組んだ事例では「マイクロフルート緩衝材」や2021年日本パッケージングコンテストで受賞した「プシュフィットトレー」があります。

マイクロフルートのメリットをもっと見る>>
パッケージングコンテスト受賞製品を見る>>

5.まとめ

脱プラは、世界的に必要性が高まっている一方で、課題もあります。そうしたなか、マイクロフルートは、パッケージの脱プラに最適な素材の一つといえます。

日本トーカンパッケージでは、マイクロフルートをはじめとした段ボールのほか、パッケージ総合支援を行っております。段ボールの製造・販売・包装設計及び、デザイン・包装試験・包装システム設計・システムの設置・保全を連動して対応しています。
パッケージや梱包材の見直しの際にも、ご相談いただければ、お客様のご要望や環境に最も適したマイクロフルートをはじめとした段ボールにまつわるご提案が可能です。

脱プラを実現するパッケージでお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

お役立ち資料

紙器パッケージ、EC・物流業務に関するお役立ちコラムをご紹介します。

紙器の基礎知識

パッケージ

日本トーカンパッケージとは?
日本最大の包装容器メーカーの東洋製罐グループと
国内2大製紙メーカー日本製紙株式会社を母体とした国内基盤の強いパッケージメーカーです。
当社の強み 日本トーカンパッケージ
日本トーカンパッケージは、国内に包装開発センターを持ち、ライン設計・システム導入・マシンメンテナンス等、東西に在住する包装システムグループが自社で実施しています。
また、DS Smith Plc(DSスミス)・WestRock Company(ウェストロック)など海外のパッケージ・製紙メーカーと提携し、日本国内で海外包装システムを提供するパッケージメーカーです。

お問い合わせ・各種請求

製品・サービスに関するご相談・お問い合わせ、
各種のご請求はこちらから

日本トーカンパッケージ株式会社 紙器営業部 担当:柴田

受付時間:午前9時〜午後5時
(土曜・日曜・祝日、年末年始を除く)