マイクロフルート(Gフルート)の基礎知識。導入メリットと採用事例を紹介
マイクロフルート(Gフルート)は、その見た目の美しさから多用途で活用できるうえに、環境にも優しい優れた包装資材の一つです。そこで今回は、マイクロフルート(Gフルート)の概要と、導入するメリットと採用事例をご紹介します。
目 次
- 1.マイクロフルート(Gフルート)の概要
- 1-1.マイクロフルート(Gフルート)とは?
- 1-2.通常の段ボールとマイクロフルート(Gフルート)の違いとは?
- 1-3.マイクロフルート(Gフルート)はどんな場面に使われている?
- 2.マイクロフルート(Gフルート)を導入する3つのメリット
- 2-1.美粧性
- 2-2.環境対応
- 2-3.省スペース、コストダウン
- 3.マイクロフルート(Gフルート)の採用事例
- 4.まとめ
1.マイクロフルート(Gフルート)の概要
1-1.マイクロフルート(Gフルート)とは?
マイクロフルート(Gフルート)とは、段ボールの一種で、国内最薄のものを指します。
段ボールは、「原紙」や「ライナ」と呼ばれる平らな紙2枚と、「中芯」と呼ばれる波状の紙を挟む、3層構造でできています。その中芯の波状部分を「段」や「フルート」と呼びます。
段ボールは、段の高さによってAフルートからGフルートと名前がつけられており、分類されています。このうち、最も段の低いGフルートのことを一般的にマイクロフルート(Gフルート)と呼びます。
例えばAフルートは、段の数は30cm内に34±2個で、段の高さは4.5~4.8mmです。それに対してGフルートは、30cm内に180個以上で、段の高さは0.50~0.55mmとなります。
ちなみにAフルート、Bフルート、Cフルートの3種類は、JIS(日本産業規格)に規定されています。
また実際の段ボールの厚みは、段の高さにプラスして、原紙(ライナ)の表原紙、裏原紙の両方の厚みが加わります。
1-2.通常の段ボールとマイクロフルート(Gフルート)の違いとは?
一般的に、段ボールと呼ぶ場合、Aフルートを指すことが多いです。マイクロフルート(Gフルート)は、Aフルートなどの一般的な段ボールと比べてどのように違うのでしょうか。
まず構造は先述の通り、Aフルートなどと同様です。そしてAフルートよりも段(以下、フルート)の数が多く、厚みは薄いということをお伝えしました。
このことから、マイクロフルート(Gフルート)はAフルートなどと比べて次のような特性を持ちます。
・段ボールでありながら化粧箱に用途が広がる
・段ボールなので「板紙」より強度が保持できる
・通常の段ボールより美粧性を確保できる
マイクロフルート(Gフルート)は、その薄さが特性ですが、Aフルートなどよりもフルートの数が多いため、板紙より強度が高いのが特徴です。強度がありながら薄さも実現することから、化粧箱で利用する事ができます。また、マイクロフルート(Gフルート)は段ボールですが、段(フルート)の厚みが薄いため、化粧箱用段ボールで課題となる箱の切断面も段ボールとはわからない程度に美粧化できます。
また、色々な紙の材質を使用できるため、資材の軽量化や環境負荷軽減にもつながります。これについては後ほど詳細をお伝えします。
そして平滑性(表面が凸凹しておらず平らである)が高いことから、一般的な段ボールよりも様々な印刷方式に対応できるのが特徴です。一般的な段ボール製品は、平滑性が低い為、オフセット印刷や美粧フレキソ印刷といった印刷をきれいに施すことがむずかしい欠点があります。
一方で、マイクロフルート(Gフルート)は、それらのような印刷が可能であるため、段ボールでありながら、商品イメージを訴求し、販売効果を高める美しい印刷を施すことが可能です。
1-3.マイクロフルート(Gフルート)はどんな場面に使われている?
マイクロフルート(Gフルート)は、先述の通り、薄くて強度がありながら軽量で美粧性があるという特徴があります。これに、化粧箱本来の目的となる「商品訴求」「販促効果」に段ボールの特性をミックスした素材で、市場展開する事が可能になります。
例えば食品・化粧品・携帯電話・家電製品といった商品の化粧箱や中箱、外箱、ギフトパッケージなどに多く採用されています。
★最近のトレンドは!
EC(通販)の配送箱や紙製緩衝材に多く採用されています。
EC(通販)の配送箱では、配送箱で中身を保護しなければいけない健康食品(サプリメントetc)や試供品(小型サンプル品)の配送に採用されています。
(EF)配送箱の特長は配送方法です。近年話題となっているのが、ポストに投函できる「ポストイン」サイズです。「ポストイン」サイズは、箱の外寸法(箱の外観寸法)が規定されています。
配送箱には、提供する商品や説明書・チラシ・請求書・伝票等多くのものを入れたいところですが、外寸法の規定に収めて梱包するのに苦労される場面があります。
その為内寸法(箱の内側のサイズ)も検討される場面が増えてきました。マイクロフルート(Gフルート)は段の厚みが薄いため他の段ボールと比較してその内寸法を大きく出来るメリットがあります。
紙製緩衝材は、「SDGs」「環境対応」の観点から、プラスチック素材から紙素材への転換が大きな社会的な課題となっています。従来発砲スチロールやプラスチック成形品で商品を固定しましたが、緩衝材も紙化にシフトしています。紙製緩衝材については、今後別のコラムやお役立ち資料で触れていきます。
日本トーカンパッケージのパッケージコンテスト受賞実績一覧>>
2.マイクロフルート(Gフルート)を導入する3つのメリット
これまでご紹介してきたマイクロフルート(Gフルート)を、商品の化粧箱や中箱、外箱などに利用するために導入する場合、どのようなメリットや効果が得られるのでしょうか。主に3つのメリットをご紹介します。
2-1.美粧性
マイクロフルート(Gフルート)を活用するメリットとして、「段ボールでありながら美粧性を再現できる」事が挙げられます。
マイクロフルート(Gフルート)は細かく小さい段の山で構成されています。従って段ボールの表面は平滑性が高くなり、美粧印刷の適性が高まります。
また、通常の段ボールではライナと呼ばれる茶色の紙が使用されますが、マイクロフルート(Gフルート)のシートには化粧箱用の使用される「コートボール」を使用する事も可能です。「コートボール」は化粧箱に使用される代表的な原紙で、ライナと比較して平滑性が原紙でも確保されており「美粧性」を再現できるポイントです。
これにより、マイクロフルート(Gフルート)は化粧箱印刷で採用されるオフセット印刷や市場では当たり前になってきた美粧性の高いプレプリント(原紙の段階で印刷する方式)グラビア印刷・フレキソ印刷も出来る様になりました。
●オフセット印刷とは
オフセット印刷は、カラー写真の入った綺麗な印刷が必要な化粧箱によく使われる印刷方法です。シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・スミ(K)の4枚の版を用いて、小さな網点を重ねることでカラー写真等を再現する手法です。特徴として、フルカラーで滑らかなグラデーション表現ができることから、精細で美しい表現に向いています。従来より段ボール製品に使われているフレキソ印刷は、樹脂のハンコを使用して印刷する方法で、版に弾性があることから、凹凸のある段ボールにも印刷しやすいのが特徴ですが、繊細な印刷には不向きでした。オフセット印刷が施せるマイクロフルート(Gフルート)は、段ボールの可能性が広がります。
2-2.環境対応
マイクロフルート(Gフルート)は、段ボールの一種であることをお伝えしましたが、段ボールは日本国内でリサイクルされる材料の中でも、リサイクルの優等生です。そのため、近年では発砲スチロールの代替資材・脱プラスチックとして、梱包用の仕切・組み立てトレーとして包装設計されたマイクロフルート(Gフルート)が活躍しています。また、板紙と比較しても環境にやさしくリサイクル率の高い環境素材として注目を集めています。
2-3.省スペース、コストダウン
従来の段ボールと比較して、マイクロフルート(Gフルート)は段の高さが低いことが特長です。マイクロフルート(Gフルート)を採用する事で、従来の段ボールより重量を削減出来たり、商品を運ぶ際の積載効率を高めたり、包装資材の保管スペースを削減したりすることが出来ます。省資源・省スペース・CO2削減など色々な環境負荷低減につながる可能性があります。
3.マイクロフルート(Gフルート)の採用事例
マイクロフルート(Gフルート)はこんな場面で活躍しています
■EC(通販)配送箱の改善(作業・環境問題etc)
■商品梱包用トレーの紙製化
■化粧箱用段ボールの改善(軽量化・美粧化etc)
■積載効率・保管スペース改善
関連情報:マイクロフルート(Gフルート)の基礎知識とメリット>>
関連情報:マイクロフルート(Gフルート)の活用パターン>>
関連情報:マイクロフルート(Gフルート)製品カタログ>>
4.まとめ
マイクロフルート(Gフルート)は、国内最薄の段ボール製品であり、薄さ、軽量さ、強度、美粧性といった特性から、化粧箱や中箱そして梱包のトレーといった幅広い分野で利用する事ができます。
当社は、このマイクロフルート(Gフルート)を自社工場で一貫生産できる紙器製造メーカーです。そして、多くの市場導入実績を持つ包装設計グループは、お客様の省資源・省スペース、化粧箱の強度アップ、環境対応の紙製トレーなど、様々な課題に対してご提案をしています。マイクロフルート(Gフルート)の導入検討や箱の改善をご希望の際には、ぜひお気軽にご相談ください。